こんにちは。
この記事では2025年4月から放送されているオリジナルTVアニメ「アポカリプスホテル」の魅力や考察を書いています。
ネタバレと考察を含みますのでご注意ください。
TVアニメ「アポカリプスホテル」とは人間がいなくなり、文明が崩壊した終末世界でホテルを経営するロボットたちが主役のアニメです。
「アポカリプスホテル」の魅力
面白くも切ない世界観
人間の帰りを待ちわびるロボットたちの日常をかわいく、コミカルに描いています。
謎の感染症により人類が宇宙に飛び出してから100年。
文明は崩壊していますが、一棟のホテルで繰り広げられているロボットたちのワチャワチャ具合を見ていると、非常に元気を貰えます。
特に1話で見せた、シャンプーハットがなくなって壊れたヤチヨさんの動きや声の荒げ具合、超大げさなシミュレーションはユニークすぎるあまりクスっと笑ってしまうほど。
ただ同時に、漠然と切なさを感じる作品でもあります。
例えば
- 100年の中で壊れてしまった数々の同僚たち
- 日々の記録をまとめたファイルが一杯のダンボール
ホテルを経営してきた年月の重みと、その間ロボットたちは孤独だったという儚さがありますね。
「人類の帰りを待ち続けているロボットたちがおかえりなさいを育てている」と考えると健気さもあります。
かわいい絵柄でどこか楽しげでありながら、うっすらある切なさのバランスがとても良い作品なのです。
軽快な音・アニメーション・掛け合い
まず、BGMやロボットたちの音を聞いているだけでとても楽しくなります。
1話でヤチヨさんたちが仕事に取り掛かるシーンで流れたBGMは、上品な曲調で聴いていて非常に気分が上がります。
また、音が良い意味で気にならない作品だと思いました。
例えばヤチヨさんがシャンプーハットが無いことに気付くシーン。(またシャンプーハットです)
さりげなく、ですがテンポよく色んな音を差し込んでいることが分かります。
なによりヤチヨさんの声優「白砂沙帆」さんの演技がすんなり耳に入ってきます。
ホテルマンのような聞き心地の良い上品な演技でありながら、叫んでいるようなギャグ調の強い場面だと、打って変わって清々しい声になります。
他にもロボットたち一機一機の声?が絶妙に違うのも、聞いていて飽きません。
更にアニメーションも非常に楽しくて、メリハリつけて動き回るヤチヨさんやロボットたちが見られます。
というかまず、OPのダンスシーンはOPを飛ばすのを忘れさせるほど圧倒させられるので、見ていない方はぜひ見て欲しいです。
3話でも人間(たぬき星人だった)を見つけたとウキウキ喜んで環境調査ロボをバンバン叩くヤチヨさんはすごくかわいいです。
また、特にすごいなと思ったのがこの場面。
この場面、直前の叫ぶシーンも含めて、視聴者は初めて色々様子がおかしいヤチヨさんを見ます。
たぶん多くの視聴者は、前半でロボットという設定やホテルに切ない過去があったため、ヤチヨさんに、強いて言えばアポカリプスホテルに固い印象を持っていたと思うんです。
ですが、急に出てきたヤチヨさんの叫びやボタン超高速連打シーンによって、雰囲気がガラッと変わって砕けた柔らかい雰囲気になります。
私はこのシーンによって、一気に心のシャッターが開いたのを覚えてますし、多くの視聴者も虜になったのではないでしょうか。
アニメーションや演技に、少しズレている様子やおかしくなった様子を存分に表現する遊び心があると分かります。
そんな遊び心あるリアクションが爽快さと面白さを生んでいるのだと思います。
普段のしっかりした様子とは裏腹に、不意に出てくるヤチヨさんの顔芸もギャップ萌えがあって良いです。
加えて、ヤチヨさんと緑色の地球外生命体の掛け合いも意思が通じているのかいないのか、頭の中に?が浮かびますがずっと見ていられます。
このアニメを見ていると間延びする退屈な時間が全くないのです。
音でもアニメーションでも掛け合いでも楽しませてくれる作品となっています。
可能性を信じるヤチヨさん
ロボットであるヤチヨさんが確率ではなく可能性を信じるようになった一連の流れが非常に美しいと思いました。
環境チェックロボから人類が生きている音沙汰がないことを伝えられ、人類が戻ってくる確率が0であること、地球外生命体のお客さんのことも分からないと落ち込みを見せます。
しかし、オーナーから伝えられた「確率よりも可能性」という言葉を思い出し、改めて宇宙人とお茶を通じてコミュニケーションを取るように。
ヤチヨさんが可能性を信じるようになったことがロボットらしからぬ選択でありますが、だからこそオーナーとの深いつながり、ヤチヨさんの中にあるオーナーの存在の大きさを肌で感じられて非常に好きです。
既に断たれたはずの人間精神がロボットであるヤチヨさんに宿っているからこそ尊さや趣深さを感じます。
ヤチヨさんの他者と分かり合える可能性を信じ、まごころを持って魂のおもてなしをする姿。
そこに愛着がわくし、優しい気持ちで見守りたいと思えるのです。
「寂しい」という感情が生まれるのか?
ここからは少し考察も含みます。
第1弾と第2弾のPVで「寂しい」という言葉が出てきます。
「アポカリプスホテル」というお話ですが、私はロボットであるヤチヨさんがオーナーへの「寂しい」という感情を自覚し、それ以上の感情を抱いてしまう物語なのかなと考えています。
ED曲はaikoの「カプセル」。
感情の芽生えを彷彿とさせる歌詞がありますが、既に1話の時点のヤチヨさんには「寂しい」という感情が巡っていたのではないでしょうか。
ただ、この時点のヤチヨさんの「寂しさ」は、形容できない”何か”なのだと思う。
そんな形容しがたいオーナーへの”何か”をホテルを経営することで表現しているだとしたら、100年間の経営はヤチヨさんたちにとって、意識していないにしろ「寂しい」の塊だったのかもしれません。
「カプセル」をフルで聴くと待つ側の想いが伝わるが、その想いは十分ヤチヨさんにも該当します。
もしヤチヨさんに「寂しさ」という感情が芽生え始めていたとすれば、気になったのは「エクストラミッション」という機能です。
このミッションですが、「宇宙人への接客を達成」「お客様に手を上げる」など、中々イカれた基準なんですよね。
ただ、2話でオーナーとヤチヨさんから「確率よりも可能性」という言葉がでてきました。
おそらくこの機能を搭載したのはオーナーですが、宇宙人との交流といった可能性を信じていたということになります。
4話時点での機能として、
- お湯を出す機能
- 花火を出す機能
- 萌え声でしゃべる機能
いずれもその場に居合わせたら楽しくなる機能ですが、オーナー自身がホテルを離れた後、残されたヤチヨさんたちが皆で楽しめるように搭載したのかもしれません。
今後も地球外生命体に魂のおもてなしをしていくことで様々な機能が解放されていくと思われますが、どんな機能が追加されていくのか、どうやって追加されるのか楽しみで仕方ありません。
まとめ
今回はオリジナルTVアニメ「アポカリプスホテル」の魅力や考察を紹介しました。
『アポカリプスホテル』は、面白く、そして少し切ない。
そんな不思議な魅力を持つ作品であり、人間がいなくなった世界でホテルを経営し続けるロボットたちの姿に、きっと心を動かされるはずです。
U-NEXTやアマプラで見られるのでぜひ見てくださいね。
コメント