小説『よるのばけもの』は何を伝えたい?考察や伝えたいことを考えてみた

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この記事では『よるのばけもの』を読んで作者が伝えたかったことなど、私が考えたことを紹介しています。

ネタバレを含むので未読の方は注意してください。

また、あくまで個人の感想です。こんな考え方もあるよねぐらいの感覚で読んでいただけると幸いです。

それではいきましょう。

『よるのばけもの』-あらすじ

夜になると化け物になる主人公の安達。

ある日、忘れ物を取りに夜の学校へ忍び込むと、クラスメイトの矢野さつきがいた。

矢野は空気が読めなかったり声が無駄に大きい、特徴的な喋り方をすることや、とある事件がきっかけでいじめを受けている。

そんな矢野だが、いじめを受けてもにんまりと笑うのみであった。

安達はそんな彼女とは関わらないようにしていたが、一緒に夜休みを過ごすことで、笑顔の裏にある隠された矢野の気持ちを知るように。

夜になると化け物になる安達が、夜休みを通して自分の気持ちと向き合っていく。

そんなお話となっています。

『よるのばけもの』が伝えたいことは

私は3つのメッセージを受け取りました。

・一歩を踏み出す勇気
・安達の最後の選択について
・同調圧力が生む正しさは本当に正しいのか

一歩を踏み出す勇気

「一歩を踏み出す勇気の大切さ」を伝えたいのではないのかなと思いました。

安達も最初は、矢野をクラスにはいないものとして過ごしていました。

空気が読めない、独特な話し方、しまいには無視されるのにニコニコ笑って話しかけている。

ですが安達は、夜休みを通して矢野の笑顔の裏を知り、矢野との関係も変化していきました。

また、矢野の夜休みが脅かされると、全力で守るようにまでなります。

さらにラストで安達は、傍観者から一歩を踏み出し、矢野に挨拶を返しました。

矢野のいじめを目の前にしてもその他大勢でいた安達と、夜では矢野と普通に過ごす化け物。

自分が持つ二面性を理解し、自分のこれから起こる出来事を知ってもなお、安達は答えを出して、勇気を振り絞り矢野の味方になる選択をしました。

これは、安達が夜休みという時間を過ごしていなければ起こらなかった出来事です。

このことから、安達が行動したように「一歩踏み出す勇気の大切さ」を伝えたかったのかなと思いました。

安達の最後の選択について

「安達の最後の選択について考えを巡らせてほしい」のではないかなと思いました。

住野よるさんは『よるのばけもの』を書くにあたって

「君の膵臓をたべたい」と「また、同じ夢を見ていた」は誰かに呼んでほしくて書きました。「よるのばけもの」は出会ってくれた皆さんに読んでもらいたくて書きました。

ということをツイートしていました。(現在そのツイートは削除されています。)

あくまで推測ですが、『君の膵臓をたべたい』と『また、同じ夢を見ていた』は、テーマの1つとしてどちらも「選択」が含まれているのかなと考えています。

『君の膵臓をたべたい』では選択について、主人公の「僕」とヒロインの「桜良」は今までの選択があったから出会えたとあり、結果として「僕」は変化していきました。

『また、同じ夢を見ていた』では、主人公の「菜ノ花」は幸せになるために様々なアドバイスを受けて選択をしており、自分の幸せを選んでいます。

そして、『よるのばけもの』の主人公である安達は、最後に矢野の味方になるという選択をしました。

安達が自分で選んだ答えです。

ですが、物語はそこで終わっていて、その後の具体的なお話は描かれていません。

つまり、安達の選択がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは、読者が考えていくものです。

なので、安達の選択が幸せにつながるのか、それとも不幸につながるのかを考えていって欲しいのかなと。

もっと言うと、矢野の味方になるのか、周りに流されるのかを考えて欲しいのかなと思いました。

きっとこの問いのヒントは、『君の膵臓をたべたい』と『また、同じ夢を見ていた』に隠されているんだと思います。

同調圧力が生む正しさは本当に正しいのか

「同調圧力が生む正しさは本当に正しいのか」ということについても考えて欲しいのかなと思いました。

学校のクラスという閉塞された空間では、同調圧力というものが少なからずあると思います。

そして、その輪から少しでも外されてしまうと、無視されたり陰でいろんな悪口を言われてしまうんですよね。

みんなそれが怖いから、違和感を感じても同じことをしないといけない。

だからこそ、クラスで穏便に過ごすために見て見ぬふりをして、自分の居場所を確保するために同調圧力に従って過ごさないといけません。

実際に私も見て見ぬふりをして過ごしてしまっていた時期がありました。

ですが、安達はきっと心が優しい人間だから、偽りの自分で生きていることにギャップを感じていたんだと思います。

だからこそ、勇気を振り絞って矢野の味方になれた安達を本当に尊敬します。

安達は自分が信じる選択をしていて、このことから「同調圧力が生む正しさは本当に正しいのかどうか」を考えて欲しいんだと思いました。

簡単ではありますが、なぜ夜になると安達は化け物に変化するようになったのか考えようと思います。

安達はなぜ化け物になったのか考察

あくまで個人の妄想です。あらかじめご了承ください。

『よるのばけもの』は昼の時間、夜の時間という2つの場面から、主人公の二面性を描いています。

そして、化け物の状態(夜の時間)が表の安達、昼が裏の安達だと私は考えています。

本来の安達は優しいですが、学校では空気を読んで周りに合わせなきゃいけません。

なので、偽りの自分を演じるストレスから、化け物になってしまったのではないのかなと思いました。

また、なぜ化け物が要素として組み込まれているのかについては、

ファンタジー要素を出すためということも考えられますし、「化け物として外見が与える恐怖=表の自分で生きていくことへの恐怖」につながっているのかなと思いました。

まとめ

今回は『よるのばけもの』について作者が伝えたいことを考えてみました。

同調圧力によって起きるいじめがテーマとなっていて、心が苦しい場面がいくつもありましたが、それ以上に安達の行動に感動させられた小説です。

ぜひ、皆さんも手に取って読んでみてくださいね。

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